オーナーズガイド
はじめに
あなたが迎えたのは、楽器というより、静かな時間そのものです。
上手に弾く必要は、ありません。
手を置いて、ひとつの音に耳を澄ます。それだけで、じゅうぶんです。
このガイドが、最初の日々にそっと寄り添えますように。
持ち方
正しい姿勢は、ひとつだけ。
あなたの肩から力が抜けている姿勢です。
床か、椅子に
あぐらで床に座るか、少し低めの椅子に腰かけます。膝が腰よりわずかに高くなると、楽器が自然に安定します。
膝の上に、中央の音を上へ
楽器を太ももの上にのせ、中央のふくらみ(Ding=いちばん低い音)を上に。手前へほんの少し傾けると、すべての音に手が届きます。
低い音を、からだ側に
低い音ほど自分の近くに来る向きが基本です。背筋はまっすぐ、肩はゆるめて。滑りが気になるときは、膝に薄い布を一枚。
立って弾くなら、スタンドを
立奏には専用スタンドが便利です。楽器の縁が、力を抜いた手のひらの高さに来るよう調整してください。
触れ方
叩く、というより、触れて、離す。
音は、離した瞬間に生まれます。
手から、力を抜く
手首をやわらかく、指は自然なカーブのままに。緊張した手からは、緊張した音しか生まれません。まず、深くひとつ呼吸を。
触れたら、すぐ離す
指先や指の腹で軽く打ち、熱い砂に触れたときのように、すぐに手を離します。この「跳ね返り」が、鋼を歌わせます。押さえたままにすると、響きは止まってしまいます。
親指と、ほかの指と
手前の音は親指の側面で、遠くの音は人差し指や中指で。決まりはありません。いちばん自然に届く指が、いちばん良い音を出します。
まず、2〜3音だけ
最初はふたつか、みっつの音を、ゆっくり行き来するだけで。ハンドパンは調律済みの楽器、どの音の並びも、すでに音楽です。
沈黙も、音楽のうち
音と音のあいだの静けさを、急いで埋めないでください。余韻が消えていく時間も、この楽器の一部です。
お手入れ
ハンドパンは、鋼の楽器です。
ほんの少しの習慣が、響きを何年も守ります。
弾いたら、ひと拭き
演奏のあとは、乾いたマイクロファイバークロスで全体をやさしく拭いてください。手の油分や汗の塩分は、錆のいちばんの原因です。演奏前に手を洗っておくと、さらに安心です。
直射日光と熱を避ける
強い日差しや、夏の車内などの高温は禁物です。鋼が熱で膨張し、調律が狂うことがあります。日陰の、風の通る場所を選んでください。
雨と湿気から遠ざける
雨の日の屋外や、湿度の高い場所での保管は避けてください。水滴がついたときは、すぐに乾いた布で拭き取りを。
ケースで休ませる
弾かないときは、付属の専用ケースへ。ただし、湿ったままケースに閉じ込めないこと。しっかり乾かしてから、しまってください。
ときどき、オイルを薄く
Phoenix オイルなどハンドパン専用のオイルを布に少量とり、全体に薄くのばして余分を拭き取ります。目安は数週間〜数ヶ月にいちど。湿度の高い季節や、小さな錆の点を見つけたときは早めに。
強い薬品は使わない
アルコール、洗剤、研磨剤などは表面の仕上げを傷めます。使うのは、乾いた布と専用オイルだけ。それでじゅうぶんです。
練習のおともに
気ままに触れるだけでも、じゅうぶん美しい楽器です。
それでも「あの曲を弾いてみたい」と思った日には、
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